menu

改正・薬機法が8月より施行

小黒 佳代子
株式会社メディカル・プロフィックス 取締役
株式会社ファーマ・プラス 取締役
一般社団法人 保険薬局経営者連合会 副会長
ドクターズプラザ2021年9月号掲載

薬剤師のお仕事(11)

改正のポイント

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」通称「薬機法」が改正され、8月より施行されました。今までもたびたび触れてきましたが、この法律は、我々医療者にとって、特に薬剤師にとっては業務の基本ともなるもので、広く薬事に関するもの、つまり医薬品だけでなく、医薬部外品や化粧品、健康食品についても規定されています。以前は「薬事法」と呼ばれていましたが患者さんに使用される医療機器や再生医療などの進歩が目覚ましい背景もあり、2014年の改正とともに「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と名称変更されました。

今回の改正では、薬局の定義とともに薬剤師の業務に関して大きな変更が行われました。薬局とは薬機法第二条において「薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所(その開設者が医薬品の販売業を併せて行う場合には、その販売業に必要な場所を含む。)をいう。」とされていましたが、改正後は「薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務並びに薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所(その開設者が併せて行う医薬品の販売業に必要な場所を含む。)をいう。」と変更されています。つまり、薬局は調剤だけでなく情報提供や指導を行う場所であり、医薬品の販売業は「行う場合」ではなく行うことが前提となっていることが分かります。

薬局薬剤師の役割

超高齢化の現在において、社会保障費における医療費の割合は2018年の調査で43兆3949億円と発表されています。その中で薬局は7兆5687億円その多くが医薬品代となっており、事実、2017年の医療費と比較すると医療費全体では0.8%増加しているものの薬局調剤医療費は3.1%と医科や歯科と比較して大きく減少しています。医療費削減を目的とした薬価の減少が大きく影響しているといえるでしょう。ただし調剤技術料は1兆9311億円あり、その価値が薬局にあるのかということが言われています。

2015年に厚生労働省から患者さんのための薬局ビジョンが策定され、薬局の業務が薬(もの)から人(患者さん)への変換を求められておりますが、薬局の業務は薬(もの)と人(患者さん)だと思っています。私が薬局で仕事を始めたのは、今から20年以上前になりますが、その頃の調剤報酬の中には長期投薬情報提供料という項目がありました。服薬期間中に患者又はその家族等に対し、服薬状況等の確認及び必要な指導を行った場合に、次の処方箋受付時に再度服薬状況等の確認及び必要な指導を行った場合に算定する、というものです。なぜこのような加算があるのか、これは私たちに求められている業務ではないのかと考え、患者さんに途中でご連絡してみたり、それによって時には医師に受診を促したりしていました。患者さんにはとても喜ばれ、隣の医療機関以外の処方箋も私のいる薬局に持ってきてくださったり、患者さんの少ない時間を見計らって処方箋がなくても薬のことや健康のことについて相談に来局してくださる患者さんもいらっしゃいました。この調剤報酬は2016年に医師への服薬情報提供料と重複する内容があるということから廃止となりましたが、最近よく言われている「かかりつけ薬剤師」を当時から実践できていたと思います。

薬という「もの」を通じて患者さん「人」に関わり、地域において予約もなく相談できる身近な医療者としてその役割を発揮できるのが薬局薬剤師です。現在、さまざまな情報が簡単にインターネットで検索できるようになりましたが、一方で情報過多になり、患者さんに必要な情報が適切に届かない状況にあると思います。困ったときに誰かがその情報を整理して伝える必要があるのではないでしょうか。医療費の抑制が必須な背景もあり、私たち薬局薬剤師が、今回の改正薬機法の薬局の定義にもあるように適切な情報提供を実施し、場合によっては一般用医薬品を販売して、その後の経過を確認し、必要に応じて医師への受診を促す拠点となれるよう、今後も活動したいと思います。

ドクターズプラザ2021年9月号掲載

記事一覧へ