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地方一次、二次救急の充実に向けて

地域医療

北海道

横山 和之
社会福祉法人北海道社会事業協会小樽病院 外科
ドクターズプラザ2019年5月号掲載

地域医療・北海道(35)

一次、二次救急の担い手の減少と高齢化

一般的に一次、二次救急体制といっても、それは各々の地方都市により、救急体制は異なっています。しかし、担い手はどこの地方都市でも同じであり、小樽市でも一次救急の担い手は開業医と二次救急をやっている総合病院の勤務医であることが多いと思います。当院の位置する小樽市では医師会夜間急病センターが設置されており、その夜間急病センターでは、小樽市内の開業医(内科と外科)、小樽市内の二次救急病院の勤務医(内科と外科)、札幌市にある大学病院の医師(内科と外科)の三者で、交代で夜間一次救急を行い、休日は開業医の輪番でも行っています。しかし、小樽市では開業医の高齢化が進み、60歳以下の開業医を見つけることが難しくなってきています。つまり一次救急の担い手である医師は、減少・高齢化してきています。

また、二次救急病院でも、昨今の医学生の進路のマイナー診療科志向(医師としての生活の質の良くない内科や外科、いわゆるメジャー診療科ではなく、良い生活の質が担保される耳鼻科や皮膚科や眼科などのいわゆるマイナー診療科を目指すこと)のため、内科・外科系の医師が減数してきており、高齢化少数で通常の業務を行っているという現実があります。そのことから、一次救急の医師をただでさえ医師が少なくなっている二次救急の総合病院の勤務医で補填する結果、二次救急病院の医師が疲弊してくるという、悪循環に陥っています。実際、小樽市内の二次救急病院の中には、二次救急の輪番から外してほしいとの声が上がっているというのも聞かれており、このままだと、ある一つの二次救急病院の輪番からの離脱から、さらなる他の病院の離脱を招き、小樽の一次、二次救急体制の根本からの崩壊が迫っています。それは最後の砦である、市立病院の崩壊にもつながります。

一次救急の担い手をどう確保するのか?

一次救急の担い手としては、小樽市内全ての開業医を参加させることで解決できると考えます。マイナー診療科の開業医であっても、一次救急の担い手として参加させることで一次救急の人員確保となると思います。「一次救急に参加しないなら、小樽市内の二次救急病院に紹介することは許さん」ってくらいのリーダーシップを医師会が持って行動することが大切と考えます。一次救急ができなくなってきたので、それを二次救急病院に押し付けることは、最終的には二次救急病院の救急体制からの離脱を招き、開業医にとっての紹介先を失うということになるからです。ただし、その実現にはかなりのハードルがあると思います。なぜなら、開業医の中には自分のことしか考えない医師が存在し、そういった医師が小樽市全体を考えた議論の足をひっぱり、議論が停滞していることが見受けられます。そこは、医師会の上層部がしっかりと小樽市の救急体制の未来を見据え、小樽市民の健康を第一線で守り、一次救急体制を支える責務は医師会の開業医にあると宣言し、行動することが必要です。

二次救急の担い手をどう確保するのか?

昔は、地方の方が医師の給料は高く、都会は給料が低いのが通例でした。しかし、今は都会の方が給料は高く、もしくは同じ水準であり、都会の病院の方が医師の吸引力が高くなるのは当たり前です。それはよく保険診療の改正や医局の崩壊のあおりを地方の中小病院がもっとも多く受けて、医師を含めた人材不足と財政の悪化となったといわれますが、僕はそれだけが原因だとは思いません。むしろ、医師の派遣を医局頼みにしていた病院自身の努力不足と病院経営能力の欠如が原因だと思っています。地方病院であっても医療の質を上げる努力を病院として取り組んでいくことで、古臭く居ても勉強にならない地方病院ではなくなると思います。また、ぼーっと院長の椅子に座っていれば、経営判断せずに病院経営が成り立っていた時代は20年以上前に終わっているんです。医療レベルが低く給料も低い地方病院に来てくれるようなボランティア精神に溢れた医師はごくわずかです。

健全な医療は健全な経営の上にしか成り立ちません。良い医療の提供と良い経営状態は両輪です。どちらが欠けてもどこかで破綻します。良い医療、良い経営で人材をしっかり確保していくことが地方病院の二次救急の担い手を結果的に増加させると思います。あくまでも僕の勝手な持論ですが、開業医は我田引水的な行動を慎み市民のために行動することを責務とし、二次救急病院は良い医療を提供するために良い経営を心掛け、人材を確保してお互いに一次、二次救急を充実させていくことが大切だと考えています。

ドクターズプラザ2019年5月号掲載

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