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地域包括ケア病棟の現状と今後の立ち位置

地域医療

北海道

横山 和之
『地域医療・北海道』連載
社会福祉法人 北海道社会事業協会小樽病院・外科
ドクターズプラザ2018年9月号掲載

地域医療・北海道(33)

―急性期病院が地域包括ケア病棟を持つ本当の役割とは―

地域包括ケア病棟

地域包括ケア病棟は、2014年の4月からの診療報酬改定から新設された病棟で、サブアキュート、ポストアキュート、在宅復帰支援の役割を持つ病棟です。それぞれの役割を詳しく説明すると、「サブアキュートとは、在宅患者や介護施設で療養している患者の急性増悪を受け入れること」、「ポストアキュートとは高度で濃厚な急性期治療後の患者の継続治療とリハビリテーション」、「MSWが中心となった多職種による在宅復帰への支援、もしくは急性期病院以外への他の病院への転院や介護施設への入所の支援」となります。

地域包括ケア病棟は2014年の新設から届出数は増加の一途をたどっていますが、その稼働の現状は、当初の役割から離れたものになっていることも多く、当院を含め、多くの急性期病院での地域包括ケア病棟の役割は、同じ病院の急性期病棟ベットのバックアップベットとして稼働しています。自院で急性期を終えた患者のポストアキュートを自院の地域包括病棟に委ねるという病棟運用、これは、回復期リハビリテーション病棟とさほど変わらない病棟運用です。

急性期病院でもある当院が、一部の急性期病棟を地域包括ケア病棟として稼働させることの本当の役割はどこにあるのでしょう。今のところ、当院の地域包括病棟では、自院からもしくは他院からのポストアキュートと在宅復帰支援の二つはしっかり運用されていると考えます。しかし、急性期病院である病院が担うべき地域包括ケア病棟の本当の役割は、サブアキュートだと思います。

そもそも、在宅患者や介護施設で療養している患者の急性増悪は全てサブアキュートではありません。高度で濃厚な治療が必要な患者であること、つまりサブアキュートではなくアキュートであることも多々あります。地域包括病棟で診るのか、急性期病棟で診るのかの選択は、患者を実際に診察してみないと決められず、患者やその家族、連れてきてくれた施設の職員には決められません。当院のように急性期病棟と地域包括病棟の両方を持っている病院ならば、何も考えずに、患者さんに来てもらい、そこで、診察し、急性期病棟で診るべきか地域包括病棟で診るべきかを、病院サイドでしっかりとセレクションして治療することができます。そうすることで、サブアキュートの患者で急性期病棟が埋まってしまったり、高度で濃厚な治療が必要な患者さんを地域包括病棟で診療しなければならない危険を回避できるようになります。そのために、当院のように急性期病院で地域包括病棟を持つ病院は、病院全体で患者の受け入れの幅を広げ、総合診療的な考えで患者を全人的に捉えて、どの科も診療を行わなければならないということです。言い換えれば、アキュートもサブアキュートも診療するとか、急性期、亜急性期、慢性期全ての診療を担うということだと思います。

サブアキュートの役割

「大したことないけどいつもより具合悪そう」「すこしずつADLが下がって来てうちの施設の介護能力ではお世話するのが難しくなって来た」。こんな感じでも、ぜひ病院に来てもらうのが、サブアキュートだと思います。今までなら在宅や施設の患者家族職員が、病院に連れてくるのがためらわれるような、そして、病院も入院を断っていたりするようなぐらいの患者の軽い悪化状態がまさにサブアキュートなんです。高度で濃厚な治療が必要になる前にまだ、症状が軽いうちに、地域包括病棟で治療する。また、関わる医師も今までの急性期病院とは違う基準で入院を決定することが必要です。

当院ではやっと、地域包括病棟でサブアキュートの役割を発揮するための広報活動を始めています。まずは、地域の介護施設と連携し、急変時だけでなくレスパイトも含めての受け入れを積極的に地域に発信し、そこから、在宅の患者様もサブアキュートで病院にきていただけるように発信していこうと考えています。加えて、一番遅れているのが、自分の病院の職員への啓発活動だと痛感しています。そこは、また、さらなる努力と工夫が必要だと考えていますが、少しずつ進めて行きたいと思っています。

ドクターズプラザ2018年9月号掲載

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