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国民の命を守るためにも不可欠な医療機関の支援

医療法

竹内 千佳
スピカ総合法務事務所 所長
ドクターズプラザ2020年9月号

コロナ医療機関支援策

はじめに

新型コロナウィルス感染症の拡大によって、私たちの生活は大きく変わりました。消費動向は外出型消費から巣ごもり消費へと転換し、在宅勤務を中心とする働き方が普及するなど、これまでと異なる大きな転換期を迎えたとされています。このような急激な社会変化は、世界の経済活動に甚大な影響を与えました。今回は、こうした状況下における医療機関への影響と、現在採られている対策についてまとめました。

コロナ下における医療機関を取り巻く状況

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、医療機関の経営状態が悪化していることが指摘されています。病院団体の全国調査(※1)によると、2020年4月の病院収入は、前年度比10.5%の減少となり、およそ3分の2の病院で赤字経営となりました。このうち、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた病院では、マイナス12.7%、感染防止対策のため一時病棟を閉鎖した病院では、マイナス14.9%とより深刻な数値となっています。さらに、これは4月時点での数字のため、2カ月遅れて支払われる診療報酬の減収がより顕著になる6月以降は、より経営状態が悪化することが予想されます。こうした経営悪化は、診療所でも起こっています。東京保険医協会が実施した緊急アンケートによれば、外来患者数が減少したと答えた医療機関が9割を超えました。

こうした経営悪化に伴い、従業員の給料の減額や賞与の見送り、非常勤医師の雇い止めを行う医療機関も出てきています。個人経営の医療機関の中には、従業員への給与を支払うために自身の報酬をカットして、補填する場合もあるようです。経営不振の打開策として、土日や祝日も開院したり、オンライン診療を開始するなど、新しい取り組みによって増収を図ることを目指すところも出てきています。

政府による支援策

こうした医療機関の状況を受けて、6月に新型コロナウイルス感染症に伴う追加経済対策を盛り込んだ第2次補正予算が成立しました。一般会計の歳出総額は、31兆9114億円と過去最大になっています。そのうち、医療体制への支援として、2兆7179億円が盛り込まれました(福祉を含む)。この中には、患者と接する医療従事者などへの慰労金の支給を含めた、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金として2兆2370億円、資金繰りが悪化した医療機関に対する無利子無担保などの危機対応融資拡充として365億円が計上されています。そのほか、これまでに行われた医療機関に対する緊急の具体的対策には、5月診療分一部概算前払いの特例措置がありました。表1では、主に医療機関が活用できる支援策として、助成金を中心に整理しました。このほか、資金繰り支援としての融資や税・社会保険料などの納付猶予などがあります。

おわりに

これから第2波、第3波が予想される状況下で、医療機関・医療従事者を支えることは国民の生命身体を守るためにも必要不可欠です。経営悪化が叫ばれる中、コンビニ受診が減ったことや、予防策の徹底によって他の感染症の減少も見られるなど、コロナウイルスがもたらした良い面を挙げる医師もおられました。新しい生活様式が求められる今、医療機関の在り方も変革の時期に立っているのかもしれません。

 

※1 「新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況緊急調査(速報)・2020年5月18日」(一般社団法人日本病院会、公益社団法人、全日本病院協会、一般社団法人日本医療法人協会)

http://www.hospital.or.jp/pdf/06_20200518_01.pdf

 

ドクターズプラザ2020年9月号

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