2017

05/15

国民の健康の保持に寄与

  • 医療法

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竹内 千佳
行政書士。成城大学非常勤講師。スピカ総合法務事務所・所長。医療法人の許認可業務及び非営利法人の許認可業務を専門としている。実務の傍ら、現在は筑波大学大学院博士課程に在籍し、医療法の研究を行う。

ドクターズプラザ2017年5月号掲載

医療法(1)

医療法は、1948年に制定された医療提供体制を定める法律で、医業を行うことができる施設としての病院、診療所等について定める医療施設に関する根幹法規です。医療法の目的は、医療を受ける患者の利益保護及び、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図ることによって国民の健康の保持に寄与することにあります。シリーズ初回の今回は、医療施設に関する基幹法である医療法について、その概略を見ていきます。

医療法が規定している内容

①総則的規定(理念・定義)
②医療に関する選択の支援等
③医療の安全確保
④病院・診療所及び助産所の開設・管理・監督等
⑤医療提供体制の確保
⑥医療法人

医療法は、八つの章と附則から構成(表1参照)されています。それぞれの章には、以下の内容が規定されています。

医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならないとされています。

この理念に従い、国及び地方公共団体は、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならないとされ、医師等医療の担い手は、医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならないとされています。医療提供に当たっては、具体的に以下の規定が定められています。

まず、医師等に対して、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努める義務(インフォームドコンセント)や、医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携に資するため、必要に応じ、医療を受ける者を他の医療提供施設に紹介すること等に努める義務を設けています。次に、病院や診療所の管理者に対して、当該病院又は診療所を退院する患者が引き続き療養を必要とする場合には、保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携を図り、当該患者が適切な環境の下で療養を継続することができるよう配慮しなければならない義務を定めています。

また、医療提供施設の開設者及び管理者に対し、当該医療提供施設の建物又は設備を、当該医療提供施設に勤務しない医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手の診療、研究又は研修のために利用させるよう配慮しなければならないとの義務を置き、先の理念に資するための医療の機会の確保、医療水準の維持を推進する義務を設けています。このように医療法は、医療関係者に義務を課すことで患者に良質で適切な治療を提供する体制の維持を図っているのです。

表1:医療法の構成