2013

10/23

嚥下障害の方の服用

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小黒 佳代子
株式会社メディカル・プロフィックス取締役、株式会社ファーマ・プラス取締役、一般社団法人保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2013年10月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(19)

さまざまな剤形の特性を理解して

薬の剤形

Q1 最近薬を飲み込むのが不安になってきました。粉薬にしてもらった方がよいですか?

A1

薬には様々な剤形があります。錠剤は保管方法も簡単で扱いやすいのですが、年齢とともに飲み込みにくくなる方も多くいらっしゃるでしょう。散剤は錠剤を飲み込むことが出来ない方に適していますが、粒子の大きさによっては口の中で広がって服用しにくい場合もあります。10年ほど前から口腔内崩壊錠が多く発売されており、口の中で容易に溶けるので、錠剤が不安な方にはまず試していただきたい剤形です。また、肌に貼ることで皮膚の血管から徐々に薬剤が吸収されて効果を現す「貼付剤」も発売されています。最近では認知症や降圧剤、頻尿を改善する薬、腰痛の薬等、今まで内服薬しかなかった疾患についても貼付剤が発売されています。薬を飲み込むことが出来ない方にとっても、高齢者の介護にあたる方にとっても使いやすい剤形として注目されていますので、医師や薬剤師にご相談下さい。

嚥下障害がある人の服用の注意

Q2 嚥下障害があるといわれました。薬を服用するときに気を付けることがありますか?

A2

嚥下障害の場合、まずは姿勢に注意してください。基本的には食事をとる時と同じ姿勢で構いませんが、リクライニングの椅子等を利用する場合には30度から60度にし、必ず頚部を枕等で前屈させておくようにしてください。

薬の服用方法は嚥下障害のレベルによって異なりますが、軽い場合には「とろみ剤」でとろみを付けた水で服用すると良いでしょう。粥食の場合には、お粥に錠剤を埋め込んだり、散剤の場合には混ぜたりして服用します。食事の味が変わって全部服用出来ないことを防ぐために、一部の食事に混ぜるようにしてください。ゼリー食の場合には、ゼリーをすくって錠剤を縦にして埋め込み、口に入れて奥舌にのせて丸呑みするように服用します。いずれの場合も服用後に薬が口の中に残っていないか、確認してください。

錠剤が飲み込めない場合には、錠剤を溶かして服用します。簡易懸濁法といって、人肌より少し熱めの温湯20cc程度に錠剤を入れて溶かして服用する方法です。3~10分程度おいて服用しますが、とろみ剤でとろみを付けるとさらに服用しやすくなるでしょう。

溶かすと苦みのある薬は、薬を嫌がる原因になる場合もあります。他の剤形を検討するとともに、最近では苦みをマスキングするゼリー状のオブラートも発売されていますので、薬剤師にご相談ください。一般的に、薬の苦味はアイスクリームやヨーグルト、ココアでは感じにくくなりますので、覚えておくとよいでしょう。また、なかには溶けない錠剤もありますのでご注意ください。

嚥下の状態は変化しやすく、悪化したり改善したりしますので、そのレベルに応じて食事の内容とともに服用方法も変えてゆく必要があります。安全に確実に服用することが誤嚥性肺炎の予防につながります。

錠剤を砕いても大丈夫?

Q3 介護施設に勤務しておりますが、薬を服用出来ない方のために服用時に錠剤を砕いています。注意した方が良いことはありますか?

A3

介護施設にはハンマーがあって、薬を服用する為に砕いている場面をよく目にします。大きな錠剤が服用出来なくなってきた高齢者には容易な方法と言えますが、まずは味の変化に注意してください。錠剤と一言でいっても製剤方法は様々です。特に、甘いコーティングを施した糖衣錠や、フィルムコーティング錠は、苦みがあったり刺激性のある味や臭いのすることがあり、高齢者が薬の服用を嫌がり、距薬の原因になることがあります。

また薬の持続性や服用回数を減らす目的で、除放性をもたせる製剤的な工夫がされた錠剤では、砕くことによってその効果がなくなるだけでなく、1回の服用量が多くなって副作用発現の要因にもなります。薬を砕く前に必ず薬剤師に相談し、必要に応じて剤形や用量の変更、ゼリー状のオブラートや簡易懸濁法などの検討をお願いします。