2016

09/15

喘息と薬の服用

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株式会社メディカル・プロフィックス取締役、株式会社ファーマ・プラス取締役、一般社団法人保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2016年9月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(39)

秋に多い喘息、これからの季節にご用心!

吸入ステロイドによる予防

Q1 3年以上前に喘息と言われて吸入をしています。今はもう症状はありません。これからも続けなければいけないのでしょうか?

A1

喘息というと、子供の病気と思われている方や、咳や息苦しさがあるものと思われている方もいらっしゃいますが、咳や息苦しさは喘息の症状の一つに過ぎません。喘息は慢性的な気道の炎症性の疾患です。

空気の通り道である気道は様々な刺激に反応して、発作的に咳、喘鳴(ゼーゼーと気管支が鳴ること)、呼吸困難が起きます。発作は軽いものから死に至るものまでありますが、自然に、また治療により回復します。しかし、長く罹っている喘息患者は、炎症を繰り返すうちに気道の壁が厚くなって、元に戻り難くなり、気道の敏感さ(過敏性)も増加しています。そのため、自覚症状は無くても、ホコリやタバコなどの刺激やストレスによって発作が起こりやすくなっており、自己判断で治療を中断するのはとても危険です。喘息の治療は気管支を広げて呼吸を楽にするだけでなく、気道の炎症を抑えるのが大切で、吸入ステロイドによる治療が有効です。

喘息による死亡患者は、平成5年に吸入ステロイド薬による予防治療中心としたガイドラインが作成されてから、その普及とともに平成9年から減少傾向にあり、平成21年には、2139人となり、ガイドライン策定前の3分の1程度まで減少しています。一方で60歳以上の高齢者の喘息による死亡者は増加傾向にあります。高齢者では、保護者が見守っている小児に比べて吸入ステロイドの吸入回数や吸入方法が、正しく行われていないことも予想されます。吸入を続けているのに症状が改善しない方は、薬剤師に吸入指導を再度受けるようにして下さい。

季節別の喘息の患者数は秋が最も多いとの報告があり、気温の変化とともに台風の影響による湿度の変化や、夏に増えたダニの死骸が原因とも考えられています。吸入ステロイドを継続してしっかり予防するようにしてください。

ステロイド薬の服用に対する不安

Q2 喘息でステロイド薬を服用していますが、ステロイドは良くないのではないかと心配です。やめたほうが良いでしょうか?

A2

喘息でステロイドが必要なのは、歩行も困難であるほどの呼吸困難がある時です。この状態の場合には、気道が炎症を起こして肥厚しておりますので、その炎症を急激に減少させる必要があります。その時にステロイドは必要不可欠なのです。薬に副作用はつきものですが、副作用よりも主たる目的となる気道の炎症を取ることが優先されているということです。発作があった時には、すぐに炎症が繰り返されないように、しばらくはステロイドの内服が必要となる場合があります。だんだんと症状を見ながら減量されていくと思います。

重症な喘息の方ではステロイド内服薬が継続されている場合もありますが、自己判断で中止するのは危険です。最近では吸入ステロイドの種類も増えて、高用量のものもあります。吸入ステロイドは、経口ステロイドに比較すると全身的な副作用は少ないと言われておりますので、吸入に変更できないか医師に相談してみると良いでしょう。

吸入ステロイドの局所的な副作用としては口腔内のカンジダ症や声がれなどがありますが、吸入後のうがいをきちんと行うことで予防できます。また、吸入ステロイドだからといって全身的な副作用が起きないわけではありませんから、症状に合わせて吸入薬を選択し、きちんと使用することが大切です。自己判断で回数を減らしたり中止したりせずに、必要な時に必要な薬剤を使用できるように心掛けてください。