2013

03/25

副作用や病気の診断で悩んだときは

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小黒 佳代子
株式会社メディカル・プロフィックス 取締役、株式会社ファーマ・プラス 取締役、一般社団法人保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2013年3月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(12)

薬局は医薬品の身近なセカンドオピニオン

「医薬品副作用被害救済制度」と「生物由来製品感染等被害救済制度」

Q1 薬を服用して副作用があったら、誰に相談すれば良いですか?

A1

医薬品は、病気を治療するために使用されますが、どんなに注意して使用しても、薬の副作用を完全に防ぐことは難しいとされています。薬を正しく使用したにもかかわらず、副作用や生物学的製剤による感染が起きてしまった時に、これらの健康被害に救済給付する制度があります。「医薬品副作用被害救済制度」「生物由来製品感染等被害救済制度」で、これら救済制度を行っているのが独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency;PMDA)です。PMDAは、国民の命と健康を守るという絶対的な使命のもとに、医薬品および医療機器の申請に対する相談や承認業務、医薬品の適正な使用に向けた安全対策業務、実際に起きてしまった副作用に対する救済業務を行っています。

全ての医薬品には目的となる効果(主作用)に対して、副作用があります。医師は主作用と副作用のバランスを考えながら医薬品を処方しますし、薬剤師はそのバランスが適正であるかチェックします。このような医薬品の適正な使用に対するたゆまぬ努力が、国民の安全や安心につながるとの考えから、PMDAは副作用の情報収集を行い、副作用の程度によっては医療従事者にいち早く警告しています。さらに処方された医薬品や薬局で購入した医薬品を適正に使用した上で、注意を払っていても起きてしまった副作用のうち、入院治療が必要な程度の疾病や、日常生活が著しく制限される程度の障害などの健康被害について救済給付があるのです。例えば、風邪で医師に受診して服用した感冒薬でスティーブンス・ジョンソン症候群(高熱を伴って、発疹・発赤、水ぶくれ等の激しい症状が、比較的短期間に全身の皮膚、口、目の粘膜にあらわれる病態)を発症した場合や、副作用歴を確認した上で使用された医薬品に対するアナフィラキシーショックなどが給付の対象となります。

医薬品は思わぬ副作用が発生する場合もあります。病医院や薬局で聞かれる既往歴や副作用歴は正しく伝えるようにし、副作用を未然に防ぎましょう。

セカンドオピニオン

Q2 セカンドオピニオンって何ですか?

A2

病気になって受診したときの治療方法は一つではない事がしばしばあります。また、何の病気か分からないときに、様々な検査を行って医師は診断をしますが、症状が良くならない場合、その診断が正しいか疑問に思う場合もあるでしょう。そのような時に当事者以外の専門家に意見を聞くのが「セカンドオピニオン」です。

例えばがんになった場合を想像してみてください。医療が進歩してさまざまな治療法が存在する中で、放射線治療を行うか、化学療法、手術を行うかの選択、あるいはそれらをどのように組み合わせるかは、その効果やリスクの説明を医師から受けた上で、患者自身が判断する事が多くなってきています。しかし、専門家でない患者自身がそれらを完全に理解して判断する事は不可能でしょう。欧米では以前から行われておりましたが、日本でも医療過誤をめぐるトラブルや患者の意識の高まりを受けて、セカンドオピニオンが広がってきました。他の専門家に相談する事は、治療を受けてゆく上でも治癒に向かう上でも、不安を取り除く為に重要な行為です。患者の権利を守ると同時に、医師にとっても誤診を回避するなど多くのメリットを持った仕組みといえます。最近ではセカンドオピニオンを行う外来を設置している病院も多くあります。また、医薬品の使用においては薬局の薬剤師も身近なセカンドオピニオンと言えるでしょう。地域の医療相談窓口として、どうぞご相談ください。

 

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