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再認識される学校の役割

特別寄稿

スキルラダー研究会

【概要】
•団体名 SLIPER(すりっぱ)
Skill Ladder for Improvement and Evaluation Running of School Health Nursing
•理 念:養護教諭の能力育成を追求すると同時に、子どもやその家族、さらにその地域で暮らす人々の健康に貢献すること
•メンバー:6人
荒木田美香子 (川崎市立看護短期大学)
内山有子   (東洋大学)
加藤恵美   (静岡市立清水船越小学校)
齋藤朱美   (東京都立深川高等学校)
高橋佐和子  (神奈川県立保健福祉大学)
中村富美子  (沼津市立大岡中学校)
ドクターズプラザ2021年9月号

特別寄稿(2)「学習するだけの場ではなく、心身の健康を保障する場でもある」

学校における新型コロナウイルス感染の特徴

現在、日本全国の学校では文部科学省が周知している「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」などを用いて、感染防止対策を行っています。しかし、少数ではありますがクラスターの発生が継続的に見られており、特に高等学校ではその割合が高く、感染場面として部活動が関係している事例が多く見られています。

また、令和3年5月の児童生徒などの感染経路は幼児(表1)の72%(106 人)、小学生(表2)の80%(1456人)、中学生(表3)の63%(791 人)が「家庭内感染」で最も高い割合ですが、高校生(表4)は「感染経路不明」が39%(550人)で最も多く、学外での活動範囲の広がりが感染リスクを高めていることが分かります。

現在、感染力の強い変異株による感染者が全国的に増加しています。この傾向は学校における感染拡大の要因にもなることが懸念されているため、学校での感染防止対策に加えて家庭や教育関連施設などにおいて、最大限の対策を講じることが求められています。

学校で新型コロナウイルス感染症が発生したら

新型コロナウイルスの感染は、医療機関から本人やその保護者に診断結果が伝えられ、同時に医療機関から保健所に届が出されます。そして学校には感染した本人やその保護者から報告されるのが一般的です。感染者の行動履歴の確認や濃厚接触者の特定などは学校の協力のもと、原則、保健所が行います。

学校で児童生徒や教職員の新型コロナウイルスへの感染を把握した場合、学校保健安全法や文部科学省と厚生労働省が協議して作成した方針に基づいて感染者の出席停止や学校の臨時休業措置などの対応を行います(図1)。また保健所や特別区衛生部局などから学校に新型コロナウイルス感染症に感染した児童生徒などや濃厚接触者になった児童生徒などについての情報が伝えられた場合、学校の設置者から文部科学省へ連絡することになっています。臨時休業の規模や期間については、都道府県などと相談して決めています。

児童生徒には発熱などの症状がある場合などには症状が改善するまで登校しないことを徹底し、感染がまん延している地域では同居家族に発熱などの症状が見られるときにも出席停止の措置を取るなど、コロナウイルスを学校に持ち込まない対策を行っています。

普段から自分の体調の変化、特に発熱、味覚異常、嗅覚異常などについて意識するように指導し、登校前の検温などの健康観察を行っていますが、症状が軽いため自覚症状がないまま登校しているケースも見られ、児童生徒や保護者の自覚が問われています。

発熱や咳などの症状が出ている状態で登校していた児童生徒などの感染が判明した場合は、学校の設置者は学校の一部または全部の臨時休業を行ったり、児童生徒などが濃厚接触者となった場合は、感染者と最後に濃厚接触をした日から2週間の出席停止を命じたりします。感染者や濃厚接触者が教職員の場合は、病気休暇などの取得、在宅勤務や職務専念義務の免除などにより出勤させない扱いとなります。

なお、感染による出席停止や臨時休業などにより授業を欠席した場合は、学習に遅れが生じることがないように補充授業や家庭学習を課すなど、児童生徒の学びが保障されるよう配慮しています。また、児童生徒本人や保護者から「同居家族に高齢者や基礎疾患があるものがいるので休みたい」「感染が怖いため休みたい」などの相談があった場合は校長の判断で前述と同様の配慮を行っています。同様に医療的ケアを必要とする児童生徒や障害のある児童生徒から「感染した場合の重症化リスクが高いので休みたい」「指導の際の接触が避けられないので不安」などの相談があった場合も、主治医の見解を保護者に確認し、病状や障害の程度を考慮して同様の対応を行っています。

コロナ禍における学校の役割

コロナ禍の日本において全国一斉休校を行ったことにより、学校の役割は単なる学習の場所ではなく、児童生徒の居場所であり、心身の健康を保障するという福祉的な役割を担っていることが再認識されました。全国の学校では、各地域の感染状況を踏まえて学習活動を工夫し、可能な限り学校行事や部活動なども含めた学校教育活動を継続しようと努力しています。

しかし、緊急事態宣言対象区域と重点措置区域の学校では、「感染症対策を講じてもなお感染リスクが高い学校教育活動や部活動」を一時的に制限することや、不要不急の都道府県間の移動を伴う活動は極力控えることが言われています。学校が地域の感染源になってはいけませんが、現段階では、15歳未満で明らかな感染拡大の傾向は見られません。修学旅行や遠足、社会科の見学、移動教室、体験活動などの校外活動は児童生徒の健やかな学びにつながる有意義な教育活動です。地域の感染状況の違いや教員間の危機意識の温度差などの課題はありますが、これらの活動の教育的意義や児童生徒の心情などを考え、全国一律に中止とするのではなく、十分な感染防止策を講じ地域の実情に合わせて縮小するなど工夫のもと実施してほしいと願います。

学校関係者における新型コロナウイルス感染症の感染状況

(令和2 年6月1日~令和3 年5月31日までに文部科学省に報告があったもの)

表1:幼児の感染経路

表2:小学生の感染経路

表3:中学生の感染経路

表4:高校生の感染経路

出典:表1~4は「小学校、中学校及び高等学校等における夏季休業に向けた新型コロナウイルス感染症対策の徹底について」(文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課)を基に株式会社ドクターズプラザ作成。

図1:児童生徒等又は教職員の感染が判明した場合のフロー

出典;「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル ~学校の新しい生活様式(2021.4.28 Ver6)~※2021.5.28一部修正」を基に株式会社ドクターズプラザ作成

 

普段から自分の体調の変化、特に発熱、味覚異常、嗅覚異常などについて意識するように指導し、登校前の検温などの健康観察を行っていますが、症状が軽いため自覚症状がないまま登校しているケースも見られ、児童生徒や保護者の自覚が問われています。

発熱や咳などの症状が出ている状態で登校していた児童生徒などの感染が判明した場合は、学校の設置者は学校の一部または全部の臨時休業を行ったり、児童生徒などが濃厚接触者となった場合は、感染者と最後に濃厚接触をした日から2週間の出席停止を命じたりします。感染者や濃厚接触者が教職員の場合は、病気休暇などの取得、在宅勤務や職務専念義務の免除などにより出勤させない扱いとなります。

なお、感染による出席停止や臨時休業などにより授業を欠席した場合は、学習に遅れが生じることがないように補充授業や家庭学習を課すなど、児童生徒の学びが保障されるよう配慮しています。また、児童生徒本人や保護者から「同居家族に高齢者や基礎疾患があるものがいるので休みたい」「感染が怖いため休みたい」などの相談があった場合は校長の判断で前述と同様の配慮を行っています。同様に医療的ケアを必要とする児童生徒や障害のある児童生徒から「感染した場合の重症化リスクが高いので休みたい」「指導の際の接触が避けられないので不安」などの相談があった場合も、主治医の見解を保護者に確認し、病状や障害の程度を考慮して同様の対応を行っています。

コロナ禍における学校の役割

コロナ禍の日本において全国一斉休校を行ったことにより、学校の役割は単なる学習の場所ではなく、児童生徒の居場所であり、心身の健康を保障するという福祉的な役割を担っていることが再認識されました。

全国の学校では、各地域の感染状況を踏まえて学習活動を工夫し、可能な限り学校行事や部活動なども含めた学校教育活動を継続しようと努力しています。しかし、緊急事態宣言対象区域と重点措置区域の学校では、「感染症対策を講じてもなお感染リスクが高い学校教育活動や部活動」を一時的に制限することや、不要不急の都道府県間の移動を伴う活動は極力控えることが言われています。

学校が地域の感染源になってはいけませんが、現段階では、15歳未満で明らかな感染拡大の傾向は見られません。修学旅行や遠足、社会科の見学、移動教室、体験活動などの校外活動は児童生徒の健やかな学びにつながる有意義な教育活動です。地域の感染状況の違いや教員間の危機意識の温度差などの課題はありますが、これらの活動の教育的意義や児童生徒の心情などを考え、全国一律に中止とするのではなく、十分な感染防止策を講じ地域の実情に合わせて縮小するなど工夫のもと実施してほしいと願います。

表5:5人以上の発生校数

令和2年6月1日~令和3年5月31 日までに文部科学省に報告があったもの

 

ドクターズプラザ2021年9月号

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