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「急に親の介護がやってきた」ときは何をすべき?

介護

NPO法人となりのかいご
代表理事 川内 潤
ウェブサイト限定記事

隣(となり)の介護(4)

頭の中を整理する三つのステップ

私の活動の一つである企業での出張個別相談で、急に親の介護に直面した方から、「まず何をしたらいいのか?」というご相談を受けることがよくあります。そんな時、まず、以下の三つのステップを踏んで、「自分自身の頭の中を整理してもらう」ことをお願いしています。

<ステップ①:人に話す>

誰でも良いので人に現状を聴いてもらいましょう。とにかく自分の気持ちを落ち着かせるために話しをするのです。いつかは相談をせざるを得なくなる仕事で関わりのある上司や同僚、近しい人に話しをするのが良いでしょう。目の前で問題が起きたとき、人は思考が停止してしまいます。たとえ介護のプロであっても、目の前の利用者様が急変するなどの問題が起きたときは、まず誰かに話すということを大切にしています。まずは人に話すことで「今、何が一番大変か」ということを客観的に考えることができます。

<ステップ②:専門家に相談する>

人に話すことで「今、何が一番大変か」ということが客観視できたら、入院中であれば病院の“医療ソーシャルワーカー(状況Aの場合)” や、“地域包括支援センター(状況Bの場合)”、といった専門家に相談し、今後の対策を立てましょう。ここで、「急に親の介護がやってくる」よくある二つの状況とその対処法について紹介します。

●状況A

脳梗塞で急に父親が倒れて、一命は取りとめたが1カ月後に転院してほしいと入院中の病院から打診されている。しかしマヒの残った父親の世話のために母親とともに毎日病院に通うだけで精一杯。

<状況Aの対処法>

現在、父親が入院中の病院の医療ソーシャルワーカー(基本的には有床病院には配置されています)に今後のことを相談しましょう。常に付き添っている母親がすでに接触している場合もありますが、母親もいっぱい、いっぱいの状態で「1カ月後に転院」ということだけしか頭に残っていない可能性もあります。そのため、医療ソーシャルワーカーに今後のことを改めて相談してみてください。医療ソーシャルワーカーにスキル不足を感じたら「地域包括支援センター」に相談するのも良いでしょう。

さらに……

ソーシャルワーカーのアドバイスを受け、次の病院の手配や家に戻ったときの介護体制をつくっていきましょう。

●状況B

自分で家まで帰ることができなくなった母親が保護されたと、夜中の3時に警察から連絡が来た。少し前までは一人暮らしでも問題なかった母親が認知症かもしれない。

<状況Bの対処法>

一人暮らしをする母親が住む地域の「地域包括支援センター」に相談しましょう。職員から「何が起きて」「何に困っているか」といったことを質問されると思いますので、詳細を話しながら、今後のことなどについて相談に乗ってもらいます。必要であれば、職員が保護した警察や母親の元への訪問、町内会や民生委員に相談するなど対応してくれることもあります。

さらに……

地域包括支援センターからケアマネジャーを紹介された場合は、ケアマネジャーとともに母親に介護サービスを暫定的にでもすぐに使うことを検討しましょう。

<ステップ③:周りの人たちに一報を入れ、介護の体制づくりのための時間を作る>

介護休暇や休業は専門家に相談するために利用して、プロの手を借りながら親の介護ができる体制づくりを心掛けましょう。

※逆に、同僚から相談を受ける立場になったら……

「いってらっしゃい」と送り出し、その後の連絡を忘れずに!

同僚や近しい人などが「急に親の介護をする」ことになったら、「いってらっしゃい」「戻ってきてね」と、またこれまでの生活に戻ることができるような雰囲気をつくり送り出しましょう。「親の近くにいるのが一番」と声を掛ける優しさも分かりますが、その言葉が「自分だけで介護をしなくてはいけないのか……」と、つらい結果を生んでしまうこともあるのです。またステップ①につながる機会とするためにも、1週間以内に連絡を取ってみましょう。その時はできる限り、話を聴くことに徹してください。誰にでも起こり得ることなので、お互いさまという雰囲気づくりが大切です。

上記の①~③のステップを押さえておけば、状況を整理しながら、安心して先に進むことができます。さらに対応が早ければ早いほど、日々の生活への影響も少なくて済むのです。最後に「急に親の介護がやってくる」とよくいわれますが、私はその前に必ず何かしらの予兆があると思っています。少しでも異変を感じたら、親の住む地域の“地域包括支援センター”や身内などに相談することで、いざという時も、周囲を頼りながら上手に乗り越えることができます。

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