魅地探索(8)鹿児島県南種子町

◇戦国時代に鉄砲が伝来した町。
今は宇宙への玄関口として注目を集める

 

鹿児島県の南端、大隅半島から南方約43kmの太平洋上に浮かぶ種子島。古くは鉄砲伝来の地として知られ、近年は「種子島宇宙センター」があることからロケット打ち上げのニュースで取り上げられることが多く、宇宙産業の島としても有名。また、サーフィンをはじめとするマリンスポーツが盛んで、島内の至る所にサーフポイントがある。自治区分は島の北側が西之表市、南側が熊毛郡となっており、熊毛郡内が中種子町、南種子町に分かれる。

 

種子島は大隅諸島を構成する島の中では奄美大島、屋久島に次ぐ大きさで、長さ約58㎞、幅約12㎞と細長い形をしており、標高の最高地点が282.4mと比較的低く、隣の屋久島とは対象的な地形を持つ。

 

島の南側に位置する南種子町は、1543年(天文12年)に町南部にある門倉岬に漂流したポルトガル人によって、日本で初めて鉄砲が伝来した地である。門倉岬には現在、鉄砲伝来紀功碑やモニュメントが建てられるなど観光スポットとなっており、地元では火縄銃古式砲術の保存会が各種イベントを実施している。1966年には宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構=JAXA)によって種子島宇宙センターの建設が始まり、69年にセンターが開設。三つのロケット発射台を持つ。「世界一美しいロケット発射場」と呼ばれるほど、ここからのロケット打ち上げは有名で、発射時には国内外から見物客が訪れる。

 

亜熱帯性植物の宝庫としても知られ、中でも南種子町の大浦川河口域に生成するマングローブの森は、環境省の「日本の重要湿地500」に選定された。マングローブパークとして整備されており、遊歩道やカヤックを使って豊かな自然を楽しむことができる。

 

人口は5,672人(2017年3月31日現在)。他の離島と同様に少子高齢化が進むが、これらの町の特徴を生かして、“宇宙留学”と名付けた山村留学制度を設け、国内他地域の小学生を積極的に受け入れている。

 

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南種子町の雄大な自然を活かしたウォータースポーツ(サーフィン・シーカヤック・スキューバ等)が楽しめます。(写真提供:南種子町役場)

 

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竹崎サーフポイント。南種子町で一番メジャーなサーフポイントです。(写真提供:南種子町役場)

 

世界一美しいといわれている種子島宇宙センターの射場。宇宙センター見学ツアーは1日3回行われています。

世界一美しいといわれている種子島宇宙センターの射場。宇宙センター見学ツアーは1日3回行われています。

◆南種子町の概要

人口/5,672人(男性:2,791人・女性2,881人)

世帯数/2,939世帯(2017年3月31日現在)

南種子町は、大隅諸島の一つである種子島の南端に位置し、起状の多い丘陵地帯で中央は海抜200m、中央から西部にかけては、最も年代の古い古代第三紀層で河川が多く、流域の沖積層には水田が広がっています。

1543年(天文12年)、ポルトガル人が乗った明国船が最南端の門倉岬に漂着し、鉄砲伝来の地として歴史的な由来を持つ。現在は、日本の科学技術の粋を集めた種子島宇宙センターがあることで、歴史と未来が共存する町です。超早場米「コシヒカリ」の出荷など、その温暖な気候と恵まれた農地を活かした農業が、この町の基幹産業です。

(南種子町ホームページより)

※ご利用料金や時刻表などについては、各交通機関のホームページをご覧ください。

※ご利用料金や時刻表などについては、各交通機関のホームページをご覧ください。

 

◇農業と宇宙産業を背景に山村留学が盛ん。
今後はさらなる観光客誘客を図りたい

 

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南種子町役場

企画課・課長 川口 恵一朗 氏(右)

企画課観光経済係・主事 中峯 清光 氏(左)

 

南種子町の主幹産業の一つが農業です。年間生産額381,062千円(2015年、以下同)のさとうきびをはじめ、水稲、甘藷(さつまいも)などが有名。また畜産も盛んで、特に他地域に向けた子牛の販売高が、近年は伸びてきています。一方で農家の高齢化や後継者不足といった問題がすでに顕在化しており、もっと収益の上がる農業モデルへの転換を模索しているところです。

 

そして、もう一つの主幹産業が宇宙産業です。2017年度は種子島宇宙センターで5基のロケット打ち上げを予定しています。1基打ち上げるためには整備期間を含めて2カ月が必要とされており、年間5基は、ほぼフル回転と言っていいでしょう。

 

こうした産業事情を背景に、南種子町では現在、独自の山村留学制度を設けて国内他地域からの留学生を受け付けています。“宇宙産業の島”にちなんで「宇宙留学」と名付けていますが、内容はロケット打ち上げ見学から農業体験、ウミガメ放流、地域イベントへの参加など多彩。現在は小学生のみを対象に、毎年40人程度の募集をかけていますが、全国から100人を超える申請があり、国内では山村留学の実績ナンバーワンといえるでしょう。

 

大自然やサーフスポット、ロケット打ち上げなど観光資源には事欠きませんが、それらをいかに観光客誘客につなげるかが、現時点での大きな課題。高速船で片道90分、飛行機なら35分と、九州本土に一番近い島という地の利を生かすために、今後は地域イベントにも注力していく考えです。

 

 

(隔月刊ドクターズプラザ2017年7月号掲載)

2017.7月号
リスト
  • 1. 巻頭インタビュー
  • 2. ドクターヘリ
  • 3. よしこ先生のメンタルヘルス
  • 4. 海外で活躍する医師たち
  • 5. 企業最前線
  • 6. 健康インタビュー
  • 7. 健康サポーターえむぞぅくん
  • 8. リレーインタビュー
  • 9. 医療系学生インタビュー
  • 10. 地域医療・北海道
  • 11. 町医者日記・沖縄より
  • 12. 小黒先生の薬の話 Q&A
  • 13. 微生物・感染症講座
  • 14. 川柳漫語
  • 15. 女子大生が考えた一品料理レシピ
  • 16. 元気わくわく病院ライブレポート
  • 17. 病院食探訪
  • 18. 魅地探索
  • 19. 僻地・離島医療
  • 20. 新製品情報
  • 21. 読者プレゼント
  • 22.医療法
  • 23.病理診断科の紹介
  • 24.野菜考
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  • 1. 西松 能子
  • 2. 横山 和之
  • 3. 天願 勇
  • 4. 小黒 佳代子
  • 5. 内藤 博敬
  • 6. 江畑 哲男
  • 7. 東京家政大学ヒューマンライフ支援センター
  • 8.竹内 千佳
  • 9.末松 直美