光線過敏症と薬

小黒先生の薬の話Q&A43

小黒 佳世子

 

■紫外線アレルギーは光線過敏症

 

<Q1>

日焼けと紫外線アレルギーはどう違うのですか?

<A1>

日本の場合、5月から8月が紫外線の最も強い期間となります。強い紫外線に長時間さらされると、皮膚が赤くなってヒリヒリ痛むことがありますが、これは日光(紫外線)皮膚炎という炎症で、いわゆる日焼けという状態です。日焼けは一定以上の紫外線を浴びれば誰でも起こる可能性があり、もともとの肌の色によって症状の強さに個人差があります。

 

それに対して紫外線アレルギーは光線過敏症という疾患で、普通では症状の出ない程度の紫外線量でも敏感に炎症が起きる状態をさします。皮膚が赤くなったり、湿疹ができたり、腫れて水ぶくれになったり、痒みがあるなどの症状があります。思春期から青年期の光線過敏症は遺伝や紫外線に対するアレルギーによるものが多いのですが、中年期以降は薬剤が原因となっている場合も多く見受けられます。

 

■内服薬も光線過敏症の原因になる

 

<Q2>

整形外科でもらった湿布薬、肌が弱いので夜だけ貼って昼間は何も貼っていないのに、かぶれてしまいました。剥がしておいてもかぶれてしまうのですか?

<A2>

光線過敏症の原因となる薬物は多種多様にあり、光線過敏症の発現頻度は、薬疹全体の約14%を占めると報告されています。光線過敏症は貼り薬や塗り薬などの外用剤によって炎症を起こす光接触皮膚炎と、内服薬を服用した後に日光にさらされた部分に発疹ができる光線過敏型薬疹とがあります。

 

湿布薬を使用していた小児が、剥がして体育の授業でプールに入ったら、湿布薬を貼っていた部分だけが赤くなってしまったというご相談を受けたこともありますが、光接触皮膚炎では外用薬を使用した部分にのみ症状が出現し、内服薬による光線過敏型薬疹では日光にさらされた広範囲に症状が現れるのが特徴です。

 

どちらも衣服などで紫外線を避けるようにして、症状に応じてステロイドの軟膏を使用します。症状が強い場合には、抗ヒスタミン薬やステロイド薬の内服が必要となります。症状が治まってもしばらくは繰り返す場合がありますので、1カ月程度は紫外線を避けるような工夫が必要です。原因薬剤となることが多いのは、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤、ニューキノロン系の抗菌剤、チアジド系の降圧利尿薬などです。

 

■日焼け止めに配合される紫外線吸収剤

 

<Q3>

日焼け止めを塗っていたのに赤くなってしまいました。日焼け止めの効果がなかったのでしょうか?

<A3>

日焼け止めに含まれている紫外線吸収剤によっても光接触皮膚炎を起こすことがあります。塗り直さずに長時間そのままに日光を浴び続けていたか、または日焼け止めに含まれている紫外線吸収剤にかぶれてしまったと思われます。

 

日焼け止めには主要成分として紫外線吸収剤や散乱剤が単独あるいは組み合わせて含まれています。代表的な紫外線散乱剤として酸化チタンや酸化亜鉛があります。どちらも白い粉末で、紫外線を反射することで紫外線から肌を守りますので、UVB(短波紫外線)からUVA(長波紫外線)まで広く遮断することができ、刺激も少ないという特徴がありますが、成分の性質上、配合量を増やすと白くなってしまいますので強力な日焼け止めが作れないという欠点もあります。

 

吸収剤は、化学的に紫外線のエネルギーを吸収し、熱などのエネルギーに変換して紫外線が皮膚の細胞に浸透するのを防ぎます。UVB領域の紫外線をよく吸収しますが、UVAを効果的に吸収する成分はまだ限られています。紫外線吸収剤はそれ自体によって光線過敏症を起こしてしまうことがあります。また、紫外線によって吸収剤が分解されてしまい、効果が持続しませんので、一定時間ごとに塗り直す必要があります。肌が弱い方は紫外線散乱剤のみのノンケミカルとか吸収剤未使用などと表示されている日焼け止めを使用することをお勧めいたします。

 

*日焼け止めの表示

SPF(Sun Protection Factor)

UVB照射により翌日赤みを生じる20分間を指標にして検定。数字が大きいほど効果が高い。 例:SPF30 20×30=600分=10時間

PA(Protection Grade of UVA)

UVAについては紫外線照射直後からメラニンの酸化で起こる即時型黒化という反応を指標として検定。+〜+++があり、+が多いほど効果が高い。 例: PA++

 

薬5月

(隔月刊ドクターズプラザ2017年5月号掲載)

 

 

 

 

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