古池雅明 さん
熊本大学・医学部医学科6年
2025/03/01
“広い視野”で診ることができる医師に!
医療系学生インタビュー(69)
進路教育で知った地元・天草の医療状況
──医師を目指したきっかけを教えてください。
古池 内科の医師として働く父の姿を見て育ったこともあり、幼い頃から漠然と医師になりたいと思っていました。高校生の時の進路教育や熊本市の“くわみず病院”で行われた「一日医師体験」を通して、医師を目指したいという思いが強いものへとなっていきました。
──熊本大学を選んだ理由はなんですか?
古池 私は熊本県天草市の出身で、将来は地元の医療に携わりたいという思いがあるためです。高校の進路教育で地元について学ぶことがあったのですが、天草は少子高齢化の煽りを受けて地域医療の重要性が増していると知りました。いつか自分の育った地元へ医療による恩返しをしたいと考えるようになりました。
熊本大学に進学することで熊本県の地域医療についても学べると思い、地域枠にて入学しました。この制度を利用した学生は、卒業後9年間は地域で働くことが求められるのですが、その条件自体も、まさに自分の将来の希望にあっていると感じました。
“幸運の女神の前髪”をキャッチしていきたい!?
──どんな学生生活を過ごしていますか?
古池 大学2年生の時にコロナ禍へ入り、講義は全てオンラインになりました。友人と直接会う機会は減ってしまいましたが、この時間を友人や自分のために大学の講義や過去問をまとめ、“Notion”というアプリを使って共有することにしました。すると、多くの同級生が利用してくれるようになり、とても嬉しかったです。
また、小学生の頃からクラリネットを吹いており、大学では『熊本大学医学部アンサンブル部』に所属しました。学祭や解剖学慰霊祭の式典で演奏したり、地域のお祭や大学病院、保育園などに呼ばれて演奏したりしてきました。お客さんとの距離が近く生の反応を見ることができるので、とてもやりがいを感じています。
──課外活動はどのようなことをしていますか?
古池 5、6年生の時には、『日本プライマリケア連合学会』の学術大会で地域医療に関する発表の機会をいただきました。他大学の学生の発表を聞くことができ、実習や座学に対する私のモチベーションを大きく向上する経験でした。
コロナが落ち着いてからは、社会人の吹奏楽楽団『碧落アンサンブル』にも所属し、コンクールや定期演奏会、各種イベントに参加しています。医療関係以外の方との出会いが多く、自分にとって大切な場所になりました。2024年春に『おやつを食べるような感覚で、気軽に、楽しく、心が幸せになるような演奏をお届けしたい』という思いのもと、『おやつクインテット』が結成され、2024年11月に初めての演奏会が開催されました。幅広い年代の方に楽しんでいただけて、子どもたちの笑顔が見られ、音楽の持つ力を改めて実感する機会となりました。大学卒業後も、音楽はずっと続けていきたいと思っています。
──これまでに影響を受けた人や座右の銘を教えてください。
古池 大学3年生の早期臨床体験実習Ⅲで出会った松田圭史先生は私の憧れであり、目標です。とても優しく温かい人柄をお持ちの先生で、外来診療で患者さんの心に寄り添ってらっしゃる姿が印象的でした。その後も、先生とは学会や地域枠学生の合宿等でご一緒させていただく機会があり、会う度に先生の人間性に惹かれています。
座右の銘としては、“日々是好日”を大切にしています。今この瞬間は、人生に一度きりですから、一瞬一瞬を大切にしていきたいです。いい日も悪い日も、自分にとってはいつかプラスになると考えるようにしています。今の自分がいつも一番若いですし、全力で過ごすことで、“幸運の女神の前髪”をキャッチしていければと思っています。
患者さんや地域に必要とされる良医に!
──将来はどのような医師になりたいですか?
古池 将来は総合診療科、なかでも訪問診療に携わりたいと考えています。去年、天草市立河浦病院へ実習に行かせていただきました。河浦病院では訪問診療にも力を入れており、私も実際に患者さんのご自宅へ付き添わせていただくことがありました。その時、病院で目にする様子だけでは患者さんの全てはわからないということや、広い視野で診ることが必要であるということを実感しました。自分の目指す医師像は患者さんの暮らしをみる医師であり、そのためには訪問診療に取り組むことが必要だと感じています。また、医師としての技量はもちろんですが、人間性も磨いていきたいです。患者さんや地域に必要とされる良医になれるよう精進したいと思います。
──最後に、後輩たちへアドバイスをお願いします。
古池 医学部医学科では多くの学部生と異なり、6年間という長い大学生活を送ることになります。6年間あるとさまざまな出会いやチャンスが待っています。私自身振り返ってみると、出会いや機会に本当に恵まれた6年間を過ごすことができたように思います。後輩のみなさんも、大学のカリキュラムだけでなくプライベートでも、受け身にならず、“幸運の女神の前髪”をキャッチしてチャンスを貪欲に掴んでいって欲しいと思います。