原 敬博 さん

熊本大学医学部医学科5年

2023/05/01

自分から行動すれば、最高の瞬間がやってくる

医療系学生インタビュー(58)

IFMSA-Japan日本総会の運営委員長にチャレンジ

―医師を目指したきっかけはなんですか?

原 興味を持ちはじめたのは小学生くらいの頃、勤務医である父の影響です。全国の学会に参加し、その都度お土産話をしてくれる父を見て「医師になったら日本中を飛び回れて楽しそう!」と思っていました。実は幼い頃に階段から落ちて緊急手術を受けた経験があったり、実際に患者さんの相手をするドクターの姿を見たりして、徐々に具体的な将来像としてイメージするようになりました。医学部を受けようと本格的に決意したのは高校に入ってからです。父から医学部を勧められたことは一度もありません。「志望するならそれなりの覚悟を持て」とは言われました。

―学生団体のIFMSA-Japanで活躍されているそうですね。どのようなきっかけで参加し始めたのでしょうか?

原 1年次に参加した、新歓と日本総会がきっかけです。全国・全世界の仲間との交流や、勉強会の運営など、主体性を持ってさまざまな活動をしている団体だと知って興味を持ちました。

―IFMSA-Japanではどのような活動をしていますか?

原 国内だけではなく海外の医学生たちともオンラインで意見交換を行うなど、刺激的な体験をたくさんさせてもらっています。

4年次には、IFMSA-Japan最大のイベントである日本総会の運営委員長を務めました。1年生の日本総会をきっかけにIFMSAに入ったので、その運営を通して恩返しがしたいと思ったんです。運営は、日本全国100名ほどの医療系学生が、13の班に分かれて取り組みました。これだけ規模が大きいと、常にどこかでトラブルが起きている状態で、把握と調整だけでもひと苦労でした。最高責任者として、日本総会全体の方針決定や統括、そして運営組織のマネジメントをした経験はすごく貴重なものだったと思います。今まで先輩についていく側だった自分が今度は引っ張っていく側になり、広くて俯瞰した視野を得られました。

5年生では、医学教育部門の責任者を務めます。国家試験対策などの制約なく動ける最後のチャンスかなと思うので、思う存分活動したいです。

やりたいと思ったことは、その瞬間に行動を!

―IFMSAの他にも、学外で活動していることはありますか?

原 1年次から、塾のチューターのアルバイトをしています。病院で実習をさせてもらうようになって、このアルバイトと病院での外来は少し似ているなと感じました。チューターは大勢の生徒と接しますが、学力のレベルや抱える悩みは一人一人異なり、それぞれに最適な対応を考える必要があります。この感覚が、大勢の異なる患者さんの対応をする外来診療に通ずるなと。難しいですが、やりがいがあります。

―将来はどんな医師を目指していますか?

原 現在、志望科は外科系(呼吸/循環/消化器)を考えています。外科でしか治せない病気は今後もなくならないと思いますし、「自分の手で患者さんを治す」ことにも大きな意味を感じます。どの科に進むとしても、専門診療科に限らない幅広い視野と知識を兼ね備えた医師になりたいです。患者さんも、かかるべき診療科が明確に分かっている方ばかりではないので、最低限の対応や、専門科への橋渡しができる力が必要だと感じます。

また、海外にもぜひ出てみたいです。専門医を取るまでは日本で経験を積むつもりですが、その後は海外でも臨床の経験を重ねて、それを日本に還元できればと考えています。

―座右の銘や好きな言葉を教えてください。

原 “The best is yet to be.”です。イギリスの詩人Robert Browningの言葉で、「一番良いのはこれからだ。最高の時はこれからやってくる」という意味です。苦しい時期やつらいことがあっても「最高の瞬間はこれからやってくる!」、楽しいことやうれしいことがあっても「これ以上のことがまだまだこれからやってくる!」と考えることができ、私が常にポジティブに、ワクワクしながら過ごせる活力になっています。日々成長して自己最高を更新し続ける、というニュアンスがあるところも好きです。

―今までの人生で影響受けた人はいますか?

原 自己責任ではあるものの、自由に人生の選択をさせてくれ、サポートしてくれた両親には感謝しています。

また、IFMSAで出会った先輩方の存在も印象深いです。社会人を経て医学部を再受験した方、卒業後に臨床以外の現場で活躍している方など、経験豊富な先輩方と話すことで固定観念が取り払われました。進路の選択肢が大いに広がったと思います。これから先に迷ったときも、その都度自分の心の声に従い、妥協することなく進んでいこうという勇気をもらいました。

―医師を目指す後輩へのメッセージをお願いします。

何か思いついたとき、心に火がついた瞬間、その「今」が自分の人生で一番若いときです。いろいろなことを「やりたい」と言う人はたくさんいますが、実際に行動に移す人は一握り。それではもったいないと思います。後回しにすることなく、まずは少しでも、一つでも、その瞬間から行動に移してみましょう。

また、熱い想いを自分の中で留めておくのではなく発信することも大事です。共感してくれる仲間・高め合える仲間、ロールモデルとなる仲間にきっと出会えます。大学内に留まらず全国や世界中のさまざまなバックグラウンドを持つ仲間と交流することで、新たな視点も生まれます。時間と体力があり、失敗も許される学生時代を、一抹の後悔もないよう過ごしてください!

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