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正義の間に立ち、世界を平和にできるファシリテーターに

鈴木野々香 さん

jaih-s

琉球大学医学部医学科

医療系学生インタビュー (24)

「途上国で働きたい」と思ったことがきっかけ

――どんな子供時代を過ごされましたか?

鈴木 小学生の時にクラスで学級崩壊があり、ずっと一人の子がいじめられて、グループで無視し合う、といった1年があって、自分の人生に大きな影響を与えました。人に嫌われないように、本音は言わないようにと、良くも悪くも「上手く生きていく方法」をその時に覚えました。

――医師になろうと思ったきっかけは何でしょうか?

鈴木 「医師になりたい」というより、「途上国で働きたい」と思ったことがきっかけでした。アフリカの子どものように生まれた場所によって長く生きられなかったり病気になって死んだり、という現状に納得がいかなくて、そういう子どもたちを助けたいと考えていました。

中学生の時は「国境なき医師団」に入りたいと思っていました。でも、実際に「国境なき医師団」で活躍されていた方の本を読んだ時に、「現地の価値観を重んじないで、支援する側の価値観を押しつけるのは違うんじゃないかな」と疑問が湧き、どうしたらいいか分からなくなりました。でも、取りあえずやってみないと分からないと思い、まずは医師になって国際協力をしようと医学部を受験しました。

――どのような学生生活を送られていますか?

鈴木 午前中は保育園でアルバイト、午後は学校に行って、その後は部活やファシリテーションの団体での活動をしている事が多いです。週1回、ファシリテーション講座で教えながらファシリテーターとして実際に会議にも入っています。また、jaih-s(ジャイフエス)という学生団体では、第12期の代表を務めさせていただきました。

―― jaih-sとはどのような団体ですか?

鈴木 日本国際保健医療学会という学会の学生部会で、国際保健で活躍したいと考えている学生が集まっています。大都市だけでなく地方でも勉強会を行って、さまざまな地域の人に国際保健や、海外で働く選択肢を知ってもらう、という活動をしています。また、ネパールで電子カルテを導入するプロジェクトへの参画など、国際保健の現場での活動も行っています。

ネガティブに捉えていた自分の過去を、ポジティブに変えることができた

――印象に残った出会いはありますか?

鈴木 大学に入って最初の1年は、「友達とずっと一緒にいたくない。本音は出したくない」という思いは変わりませんでした。でも、jaih-sの合宿でカウンセラーの齋藤敦子先生と出会い、その気持ちが変わりました。齋藤先生が授業で「国際協力をするあなた自身を大切にできなかったら、人を幸せにできないよね」という話をされていて、この人に自分の「人と上手く接することができない」という悩みを伝えたいと思ったんです。

授業の後に二人で話す機会があって、号泣しながら全部打ち明けました。その時、齋藤先生に「野々香は世界を平和にする使命があるよ」と言われました。「今、世界が平和じゃないのは、国と国や地域と地域が争っているから。どちらもお互いに正しいと思っている。どちらも自分の正義を貫いて争っているけど、その正義が違っているからぶつかっている。あなたはその間に入って、どちらの正義も分かってあげられる。みんなにいい顔をしていた分、どちらの気持ちも分かってあげることができて世界を平和にできるよ」と。

「正義の間に立てる人」と言われて、その時、ネガティブに捉えていた自分の過去を全部ポジティブに変えることができたんです。その時から自分を大切にしなきゃと思うようになり、周りの人も大切にしたいという気持ちが芽生えました。

――将来はどの道に進みたいと考えていますか?

鈴木 迷っています。一つは現場で子ども一人一人と向き合って、自分のようにネガティブな過去をポジティブに変えてもらった経験を、今あまり幸せじゃないと感じている子どもたちにもしてほしいという思いがあります。一方で、社会の構造から変えたい、国と国の間の関係をファシリテーションで解決する社会変革ファシリテーターになりたいとも思っていて、医師とファシリテーターを両立できないかなと考えています。

1年生の時に「正義と正義の間に立てるよ」と言われたことが、ファシリテーターの仕事とリンクしているんです。ファシリテーターも違う意見を持つ人の間に入り、分かり合えるようにする。そういうところでつながっているということに最近気付きました。そのこともあって、医師の仕事もしたいけど、ファシリテーターとしてコミュニティーの間の問題を解決する仕事をしたい、という気持ちも強いです。

――医師を志す後輩へ、メッセージをお願いします。

鈴木 人を救えるのは人です。自分も周りにいる人にとても影響を受けています。一緒にいてくれる人って大事ですよ。周りの人、出会ってくれた人に感謝してほしいです。

ドクターズプラザ2018年3月号掲載

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