可児 圭丞 さん

順天堂大学医学部4年

2015/07/15

幸福度合を上げられる医師に

  • Medical Future Fes

医療系学生インタビュー(6)

根底にあるのは「人を喜ばせたい」「楽しんでもらいたい」という思い

知識を詰め込むだけでなく人として成長したい

―医師になろうと思ったきっかけは。また、いつ頃から医師になろうと思いましたか。

可児 正直に言うと、大学受験の直前まで医師になりたいとは思っていませんでした。小さい頃からイベントや人を仕切って動かすことが好きで、中学・高校の頃は勉強よりもむしろ文化祭や体育祭などに力を入れる、いわば「青春」を送っていました。目立ちたがり屋だと思うかも知れませんが、人前で何かするというよりも、「空間を創る」ことが好きで、実行委員などの裏方の仕事の方が好きでした。というのも、根底には「人を喜ばせたい」「楽しんでもらいたい」という思いがあり、自分の創り上げた空間でお客さんが楽しんでくれている、という事に喜びを見出していました。高校2年生ぐらいまでは文系に進んで、広告代理業に進もうかと本気で思っていました(笑)。

しかし、高校3年生になるにあたり恩師から「仕事というのは、どんなものでも『金銭』が基準だ。広告系に進むのも結構だが、お前の仕事は『客を喜ばせるため』ではなく、『金を儲けるため』だ。しかし医者ならば、基準は『患者の健康』だ。患者を満足させるためには、ある程度の利益は度外視してでも手を尽くすことができる」といった内容のことを言われました。そんな話もあり、自分が本当にあと40〜50年生きていくうえでの生きがいを考えた時に、金銭的な価値よりも、「人に喜んでもらえる・笑顔が見られる」ことに価値を見出すことができる、と考え、医師になることを選択しました。

―どのような学生生活を送っていますか。

可児 現在、Medical Future Fes(MFF)というイベントの運営を中心に行っています。その他、大学のオーケストラ部に所属しているので、そこの練習に顔を出したり、学校には勉強ももちろんのことですが、友達に会いに行ったりしています。

―MFFに参加しようと思ったきっかけは。

可児 医療系の大学は一般的な大学と違い、一キャンパスに1〜2学部しか無いことや、ビッシリとカリキュラムが組まれていて絶えず課題に追われているという事もあり、他学部や他学年の学生と会う機会が一切ありません。私が通う大学でしたら、薬学部や看護学部の学生とは一人も知り合わないまま卒業することも珍しくはありません。また、自ら考えて行動する機会の少なさもあります。医学部ではカリキュラムの多くが座学と病院での実習に費やされ、「国家試験に合格するための知識を詰め込む」ことが何より重要視されます。その結果、膨大な医学的知識は身に付くものの、それ以外の一般教養や社会常識・人間的には未熟な学生が多く排出される原因の一つになっているのではないかと個人的には考えています。

そんなことを考え始めた時に、高校の同級生と話をする機会がありました。彼等が「○○大学に留学してくる。△△でインターンシップをしている。□□で賞をもらった」などと話しているのを聞いて、自分はどうなのだろうか? と振り返ってみると「……の勉強をしています」としか言えないことにハッと気付きました。それで6年間の大学生活の中で成したことが「知識を詰め込んだ」だけではなくて、人間的に成長できるにはどうしたらよいか、を考えるようになった時に、偶然MFFの運営に誘われました。

―MFFというのはどんなことを行っているのですか。

可児 MFFは、「文化祭」をイメージしていただければ分かりやすいと思うのですが、全国から2日間で計800名もの医療系の学生が集まって、思い思いの企画を行う「お祭り」です。普段は学年も地域もバラバラな学生が一堂に会し、自ら主体的に学んだ成果を発表したり、学部や学年の枠を越えて交流する場を提供しています。

恩師との出会い

―これまでに印象に残る出会いや出来事はありますか。

可児 中学・高校の恩師、下山先生(現代国語)との出会いです。中学1年生の時の担任で、文化祭のクラス企画で深く関わらせて頂いたのがきっかけなのですが、本当に生徒思いの真摯な先生で、とても多くのことを学びました。企画をするならば「『誰をターゲットにするのか?』『何をコンセプトにするのか?』を徹底しろ」と当時、中1の自分と夜遅くまで顔を突き合わせて話してくれました。私があまりにも大変で仕事を投げ出そうとすると「一度引き受けたら絶対に放り出すな。最後まで真剣に真摯に取り組め」と諭してくれました。

―どんな医師を目指していますか。

可児 今でもあまり「医学」そのものに関して深い興味があるとは言えません。しかし、「医療」にはとても興味があります。まだ具体的にこういったことを行いたい、という考えがあるわけではないのですが、ゆくゆくは医療の問題点の改善にも関わっていきたいと考えています。また、診療科としては小児科に興味があります。自分が一人の人に関わることによって上げられる幸福度合(仮に設定した場合)について考えると、やはり小児が一番大きいと感じています。5歳の子供が健康になれば、あと70年分の幸せをその子が手に入れられると考えると、小児科は責任重大な分、喜びも大きいと感じています。