須藤 大貴 さん
防衛医科大学校医学科6年生
2020/12/22
人命と直結する救急を選ぶ
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Medical Future Fes
医療系学生インタビュー(42)
他学部生との交流や山での医療を経験した学生生活
―医療の道を目指そうと思ったきっかけを教えてください。
須藤 実は小学生のころから微生物が好きで、初めは医学ではなく農学などに興味があり、研究者になりたいと思っていました。しかし高校1年生ぐらいになると、興味が医学系に変わってきたのです。最終的に医学部か農学部、薬学部のどれを選ぶか悩みましたが、ダイレクトに人命を救えるのは医者だと思い、医学部の道を選びました。また、高校生のころ通学中に目の前で人が倒れたことがあったんです。その時に心臓マッサージをしたことも、自分の中で医学を目指すきっかけの一つになったように思います。
―学生生活はどのように過ごしていますか?
須藤 興味を持ったもの全てに取り組んでいきたいと考えていたので、視野を広く持つことを大切にしながら活動してきました。1年生の終わりに、MFF(Medical Future Fes)に入ったことは自分にとって大きな出来事だったと思います。MFFは医学部や看護学部、理学療法学部などさまざまな医療系の学部の学生が集まって、幅広いジャンルの医療を学んでいく団体です。月に1回の定例会の他に、毎年夏には「Summer Fes」という全国から約150人の医療系学生が集まるイベントを開催しています。僕も入ってすぐ、「Summer Fes」で国際医療の先生を講演会に招く担当になりました。限られた予算の中で講師を招かなければならず、何とか頼み込んだのを覚えています。僕にとって初仕事だったので、先生が熱意に応えてくださったことが印象的でした。また、今は災害医療に興味があるので、災害医療を主とした他団体と交流したりしています。医者以外の職種になる学生と交流できるのは、医学生にとっても貴重なことだと思います。
―部活動はしていますか?
須藤 大学では山岳部に入り、主将を務めていました。もともと幼いころから家族で登山をしていたので、大学では山岳部に入ると決めていました。医学部の山岳部なので、高山病の勉強など部活の内容も医学に絡めることができたのは良かったです。2週間に1回程度の頻度で希望者と登山の計画を立てて登りに行きます。今まで槍ヶ岳や穂高岳など、数々の山に登りました。長期休暇の時は2〜3日のプランを立てますが、通常は日帰りか1泊のプランを立てています。登山はやはりチームワークが大切なので、どのように下級生をまとめていくかを常に考えていました。ただ指示を出すのではなく、どのように動けばいいか後輩に考えさせる場面もあり、リーダーとしてチームをつくっていくということが面白かったです。
視野を広く持ち興味に忠実であることが大事
―防衛医大の特徴を教えてください。
須藤 基本的には他大学と同じことを学びますが、それに加え災害時の対処法などを学ぶ防衛医学を勉強します。また、自衛隊のパイロットは航空身体検査が必要なので、検査のやり方なども勉強しました。起きてほしくないことではありますが、紛争地帯でどのように医者を配置するかという現場に関する医療も学んでいきます。今は国家試験前なので研究活動はほとんどできていないですが、個人的には災害疫学に興味があるので、これからも研究活動は続けていきたいです。
―今まで、影響を受けた人や言葉はありますか?
須藤 僕は桐朋高校の出身なのですが、防衛医大で同じ高校出身の先輩や先生が集まる会合があるんです。そこへ初めて参加した時に、周りから「視野を広く持て」と言われたことで、興味を持ったことに対して何でも取り組むようになりました。あと、防衛医大の副校長先生も高校の先輩なのですが、先生がご自身の研究分野について話してくださって、その話を聞いたことがきっかけで、また研究者という道も目指してみたいと考えるようになりました。
―卒業後の進路を教えてください。
須藤 初期研修で、防衛医大病院か自衛隊中央病院で2年間研修をしたあと、陸上自衛隊の救急に入ることが決まっています。大学低学年のころは内科に進みたいと思っていましたが、救急を選びました。救急は大変な職場だといわれていますが、人の命と直結する分野だと思ったからです。また、防衛医大というブランドを一番生かせるのも救急という現場なのでは、と感じました。
―最後に後輩へ何かメッセージがありましたらお願いします。
須藤 学生時代は、時間があるように思えて意外とないので、今のうちに「学生だからできること」をたくさんやってほしいと思います。例えば医療系の学生団体に入って頑張ってみるのも良いし、バイトを頑張るのも良いと思います。自分の趣味を見つけて、それに全力投球するのも良いと思います。やりたいことを見つけて、それに対して忠実であることが、卒業後の人生を歩む時にもすごく役に立つのではないでしょうか。
(本インタビューはオンラインで行いました)