医療という手段を使って子どものことを支援していきたい

医療系学生インタビュー (23)

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塚田 凪歩さん
産業医科大学医学部5年

 

心音を聴いて
医者になろうと思った

―医師を目指そうと思ったきっかけは何でしょうか?

塚田 高校生の時に通っていた塾の先生から「何のために勉強するの?」「何のために大学に行って働くの?」と毎日のように言われていたのですが、「やりたいことってないなぁ……」と。それで、強いていうならスポーツ観戦が好きだったので、スポーツトレーナーを目指そうと思ったんですよね。それで、どうせなるなら食べていけるようになりたいと思って調べてみたら、医師免許を取るのが良さそうだということが分かったんです。つまり、最初は医者になるつもりはなく、医師免許を取るために医学部を目指し始めたというわけです。

 

私が通っていた高校では、医学部を目指す人は皆、病院にインターンに行かなければいけなかったんですが、高校2年生の夏休みにある村の診療所に行って、訪問診療を初めてさせてもらったんです。危篤の方のベッドサイドに行き、初めて聴診器を渡されて心臓の音を聴いたんです。その時、「人の心臓の音ってこんなに強いんだ」と言葉にできないくらいの感動を覚えました。それで、医療に関わりたいと思うようになり、ドクターを目指そうと決意しました。

 

医学生だからこそ
求められる社会貢献をしたい

―現在はIFMSA-Japan(国際医学生連盟)の代表をされていますが、どういうきっかけでこの団体に入られたのですか?

塚田 1年生の時にはこういう学生団体は何も知らなかったのですが、漠然と国際保健に関わりたいと思っていました。そんな時、学内の同じクラスの友人から、AMSA(アジア医学生連絡協議会)のホームページで国際会議の参加者の募集をしていることを教えてもらい、軽い気持ちで参加してみました。それで、その会議から帰った後に、当時のスタッフが私のデザインスキルを評価してくれて、「一緒にPRをやらないか」と誘ってくださったので、1年ほどAMSAの役員をすることになったんです。学生団体は一つ入ると、他の団体とも関わるようになる人が多いんですよね。私もその例にもれず、2年生の4月からIFMSAに関わるようになりました。

―この団体の活動で、特に読者に知ってもらいたいことはありますか?

塚田 この団体は活動もテーマも多岐にわたりますが、学生だけで完結しない社会貢献をするというのが大前提です。例えば、性教育を扱っている委員会では、小学校の先生などから「年齢の近い学生から伝えてほしい」と出前講座を依頼されます。私たちは一般の人よりは医療の知識がありますが、医者ではありません。だからこそ伝えられることがあり、聞き手にとっても受け取りやすい側面があります。私たちのやりたいことだけではなく、求められているのは何なのかを考えて活動することが大事だと思っています。

 

興味のない分野でも
食わず嫌いせずに
顔を出してみよう!

 

―将来はどんな医者になりたいですか?

塚田 私は子どもに関わりたいとずっと思っているんです。そのきっかけになったのは、浪人生のころに読んだ、ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんがテロで襲撃されたという記事です。女性にも教育を、と志を持って活動するマララさんのように、確かな意志を持って日々を過ごす子どもが当然のように世界中にいるということに、ハッとしたんです。そこに親近感さえ感じ、私はこういう子たちに関わりたいのだと強く思うようになりました。

―小児科に行きたいというわけではないんですね。

塚田 はい。必ずしも“子ども”=“小児科”とは思っていません。子どもはお母さんのもとで育つので、お母さんを応援することが子どもを応援することにつながると感じています。お母さんの様子を見ていると、貧困やジェンダーの問題など、社会背景が本当に見えてきます。子どもを形作る要因がそこにあるなあと思います。どう子どもに関わって行くのが良いかは、ずっと考えています。その答えを見つけるために、今までこうしてさまざまな活動をしてきたというわけです。

―後輩に何かメッセージがありましたらお願いします。

塚田 現状に対して批判することは得意な人が多いのですが、じゃあ自分だったらどうするのかまで考えている人はなかなかいないように思います。人の話を聞いたり何かを見たりした時、「こうしたらもっといいと思う」と考えていくことが大切だと思いますね。

 

もう一つ後輩によく言っているのは、自分が全然興味のない分野にも騙されたと思って行ってみると、すごく視野が広がるということです。そこに自分が本当に興味のあることとの共通点や関連があることが分かって、そこから広がっていくことがとても多いです。

 

特にこういう学生団体では、目標が決まっていて、それを目指している人が多いので、何も決まってない人は引け目を感じることが多いんです。でも、悩まなくてもいいんですよ。結局自分がどこに心動かされるかで進みたい方向が自ずと決まってくるので、焦る必要はないと思っています。

(隔月刊ドクターズプラザ2018年1月号掲載)

2018.1月号
リスト
  • 1. 巻頭インタビュー
  • 2. ドクターヘリ
  • 3. よしこ先生のメンタルヘルス
  • 4. 海外で活躍する医師たち
  • 5. 健康インタビュー
  • 6. 健康サポーターえむぞぅくん
  • 7. 医療系学生インタビュー
  • 8. 地域医療・北海道
  • 9. 小黒先生の薬の話 Q&A
  • 10. 微生物・感染症講座
  • 11. 川柳漫語
  • 12. 女子大生が考えた一品料理レシピ
  • 13. 魅地探索
  • 14. 僻地・離島医療
  • 15. 読者プレゼント
  • 16.医療法
  • 17.病理診断科の紹介
  • 18.野菜考
  • 19.一期一会・この人に聞きたい!
リスト
  • 1. 西松 能子
  • 2. 横山 和之
  • 3. 天願 勇
  • 4. 小黒 佳代子
  • 5. 内藤 博敬
  • 6. 江畑 哲男
  • 7. 東京家政大学ヒューマンライフ支援センター
  • 8.竹内 千佳
  • 9.末松 直美